宮古島の歴史を学んで更に観光を楽しもう!歴史や文化を感じられる人気のスポットもご紹介
目次
宮古島の歴史
宮古諸島は、沖縄本島から南西に約300km、石垣島からは東北東におよそ130kmの距離にあり、大小8つの有人島からなっています。
その宮古島が初めて歴史に登場するのは鎌倉時代です。
中国の歴史書には、温州(うんしゅう)みかんで知られる中国の温州府に宮古島の島民が漂着したという記録が残っています。
室町時代には、宮古島の平良を拠点としていた豪族、与那覇勢頭豊見親(よなはせどとぅゆみゃ)が、現在の中国・河北省中南部を中心とする一帯を領土としていた中山国に朝貢し、宮古島の首長に任ぜられました。
他に、宮古島の歴史を語るうえで欠かせないのが人頭税(じんとうぜい)です。
人頭税とは、琉球王朝が宮古、八重山に課した厳しい税を指します。
江戸時代初期に薩摩藩の侵攻を受け、その支配下に置かれた琉球王朝は重税をかけられ財政的に困窮、その補填のために宮古、八重山地方の人々に厳しい税を課します。
男は粟、女は宮古上布の納付が義務づけられました。
この人頭税と呼ばれている税制は、約300年も続き「世界で最も過酷な税」と言われています。
また、宮古島は珊瑚礁が隆起して出来た島なので、川がありません。
そのため、宮古島の方言で「ガー」と呼ばれる井戸がいくつも掘られ、井戸は住民の大切な生活用水となりました。
このように宮古島には、いくつもの興味深い歴史が存在しています。
今回は宮古島の歴史や文化をテーマにご紹介させていただきます。
これから宮古島への旅行を検討している際は、ぜひチェックしてみてください!
宮古島の文化とは?
宮古島の文化として、まず宮古上布(みやこじょうふ)が挙げられます。
宮古上布は、イラクサ科の多年草、苧麻(ちょま)を手紡ぎした細い糸で織りあげる蝉の羽のように繊細で涼やかな布で、最高級の夏の着物として知られています。
美しい宮古上布は、琉球王朝時代の過酷な人頭税の歴史のなかで作られてきました。
納税能力の如何に関わらず一律同額に課せられ、島の女性たちは一日で織れる長さはわずか20センチという厳しい手仕事を朝晩関係なく続けました。
また、宮古上布は新潟県の越後上布、石川県の能登上布、滋賀県の近江上布とともに「日本4代上布」の1つに数えられ、国および県の重要無形文化財にも指定されています。
他にも、宮古諸島各地に伝承されている芸能では、クイチャーと呼ばれる集団の踊りがあります。
楽器を使用せず、「ニノヨイサッサ」の掛け声とともに豊年祈願、雨乞い、男女の娯楽として円陣を組んで行われる踊りです。
その起源は、室町時代の中頃、目黒盛豊見親(みぐるむいとぅゆみゃ)が、宮古諸島を統一した際に、踊り部(ぶどりぶ)を制定したのが始まりと言われています。
クイチャーは国の重要無形文化財に指定され、近年では、毎年11月に宮古島で「クイチャーフェスティバル」が開かれています。
お祭り
宮古島のお祭りでは、毎年夏に開催されるビックイベント「宮古まつり」が有名です。
花火大会にパレードやのど自慢、大綱引き、ミス宮古発表会など多彩な催しが繰り広げられます。
また、全日本トライアスロン宮古島大会という毎年4月に宮古島市で開かれるトライアスロン大会も有名です。
国内海外のトップアスリートをはじめ、日本中から老若男女のトライアスリート達が集まり、スイム(3キロ)、バイク(136キロ)、ラン(42.195キロ)という過酷なレースに挑戦します。
ミャークヅツ
「楽しい月」を意味するミャークヅツは、宮古諸島の池間島を由来とする3地域の伝統行事です。
宮古島市の平良池間、伊良部佐良浜、平良西原の3地区で、旧暦の8月か9月の最初の甲午(きのえうま)に行われます。
各地区の住民たちがお揃いのハッピや鉢巻きを巻いて、クイチャーを踊ったり神歌を歌ったりして、豊漁や五穀豊穣、集落や子孫繁栄などを祈願するお祭りです。
池間と西原は3日間、佐良浜は4日間行われ、初日はアラビ、2日目はンナカヌヒー、3日目をアトヌヒー、最終日をブートイビーと呼んでいます。
島尻のパーントゥ
宮古島の奇祭といわれるパーントゥは、宮古島の平良島尻と上野野原の2地区で行われる厄払いの伝統行事です。
パーントゥとは、鬼神やお化けを意味し、仮面をつけたパーントゥが集落を回って厄をはらいます。
ただし、地区ごとに内容は異なっています。
平良地区島尻のパーントゥは、旧暦9月の吉日に、パーントゥに扮した神様たちが集落の家屋や人々に厄を払うために泥を塗りつけるという豪快なものです。
上野地区野原のパーントゥは、旧暦12月最後の丑の日に行われ、泥を塗りつけたりせず、集落内を行進して厄払いをします。
なお、両地区の行事は「宮古島のパーントゥ」として、国の重要無形民俗文化財に指定され、さらに2018年(平成30年)には、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
宮古方言
ここからは、知ってトクする島言葉をご紹介いたします。
島の方言は、言葉や言い回しが独特ですが、基本的な言葉を話すだけでも島の人たちと仲良くなれるでしょう。
例えば、楽しい・うれしいは「ぷからす」。
大変・大事は「だいず」。
お元気ですかは「ぞうかりうらまー」。
ありがとうは「たんでぃがーたんでぃ」。
いらっしゃいませは「んみゃーち」。
ちょっとだけは「びっちゃがまよ」。
宮古島で泡盛をすすめられたら、にっこりこう言いましょう!
宮古そば
美味しい宮古の島料理の一つに「宮古そば」があります。
沖縄そばの一種で、麺は細く縮れのない平麺で、スープがあっさりとしているのが特徴です。
麺は、油処理した茹で置きの麺が使われます。
具材は、豚バラ肉の肉厚な三枚肉とかまぼこが標準です。
また、老舗の食堂には今もカレー粉缶が常備され、好みによってカレー風味で食べる人が多くいらっしゃいます。
歴史や文化を学べばさらに宮古島が好きになる
ここまで、宮古島の歴史や文化をご紹介させていただきました。
旅行に行く前にその場所の歴史・文化を学べば、都度発見があるため、旅行がより一層楽しくなります。
事前知識を入れて宮古島に向かえば、沖縄屈指の美しい珊瑚礁に海岸風景を誇る宮古島をもっと好きになること間違いなしです!
宮古島の歴史・文化を感じられるおすすめの観光スポット10選
ここからは、宮古島の歴史・文化を感じられるおすすめの観光スポット10箇所をご紹介します。
興味深いスポットが数多く存在するので、ぜひチェックしてみてください!
歴史・文化を感じられるスポットに行くと、宮古島の旅がより一層思い出に残るはずです。
宮古島市総合博物
宮古島市総合博物館は、宮古群島の民俗文化や歴史的資料が一堂に展示されている博物館です。
島の人たちの生活様式がリアルに再現されている模型が印象に残りますが、歴史的に貴重な文物も数多くあります。
スポットの説明・見所
館内は2つの展示室に分かれています。
第一展示室では、宮古島の考古・歴史部門として、宮古に人々が住み着いた時代から太平洋戦争までを、民俗部門として伝統芸能や伝統行事を紹介しています。
先にご紹介した、人頭税廃止運動の資料をはじめ、宮古島の厄払いの伝統行事、パーントゥのレプリカや解説の展示が見どころです。
第二展示室の自然科学部門では、ジオラマなどによって宮古島の生い立ちや自然を紹介しています。
また、美術工芸部門では特色ある織物、宮古上布や焼物の紹介をしており、宮古島の自然と風土を一度に知ることができます。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市平良字東仲宗根添1166-287
電話番号 0980-73-0567
開館時間 9:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(月曜が祝日の場合は火曜日も休館)、年末年始、祝日
入館料 大人300円、大学生・高校生200円、中学生・小学生100円
アクセス 宮古空港から車で約30分、平良港から車で約15分、無料駐車場利用。
うえのドイツ文化村
中世ドイツの建物を模した宿泊施設や博物館、ドイツの民家をモデルにしたお土産品店などが立ち並ぶ宮古島最大のテーマパークです。
うえのドイツ文化村は、明治時代に旧上野村の宮国の住民が、ドイツの難破船を救助したゆかりの地に建てられています。
また、この海難事故を縁にドイツのシュターデ市と旧上野村は、姉妹都市関係を結んでいました。
スポットの説明・見所
ドイツの古城マルクスブルグ城を再現した博愛記念館や、メルヘンの世界を集めたキンダーハウス、水中観光船シースカイ博愛などが見どころです。
博愛記念館には、勇壮な騎士の鎧に思わず見惚れてしまう「騎士の間」、当時のドイツ貴族の豪華な生活様式が想像できる「婦人の間」、1876年(明治9年)に旧上野村宮国沖で遭遇したドイツ商船の「ロベルトソン号漂着記」などがあり、大人から子供まで楽しめる展示内容となっています。
ほかにも、地上42メートルの展望室から眺める太平洋の大パノラマは絶景です。
キンダーハウスはメルヘンの世界をテーマに、グリム童話に関する資料やドイツの珍しいおもちゃなどを展示しており、子供たちが楽しみながらドイツ文化に触れられます。
また、歴史的遺産「ベルリンの壁」も要チェックです!
シースカイ博愛では半潜水式の水中観光船で、色とりどりの熱帯魚や珊瑚であふれる夢の世界を体感できます。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市上野宮国775-1
電話番号 0980-76-3771
開館時間 9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日 火曜日・木曜日(シースカイ博愛は無休)
博愛記念館入館料 大人(高校生以上)750円 小人(小学生~中学生)400円
キンダーハウス入館料 大人210円 小人100円
共通券(上記2館)大人850円 小人400円
シースカイ博愛乗船料 大人2000円 小人1000円
運行時間 約45分(1日7便)
アクセス 宮古空港から車で約15分、平良港から車で約25分、無料駐車場利用。
人頭税石
人頭税とは、琉球王朝が1903年(明治36年)まで島民に課していた悪名高い税制です。
人頭税石はその名残と言われている史跡です。
スポットの説明・見所
人頭税石は高さ約143センチの石柱であり、地元では賦測石(ふばかりいし)とも呼ばれています。
賦測石の「賦」とは税金を意味しており、戸籍が整っていなかった宮古島では、背丈がこの石を超える者に税が課せられたと伝えられています。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市平良字荷川取90
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で約10分、平良港から車で約3分、駐車場なし。
大和井戸(ヤマトガー)
大和井戸(ヤマトガー)とは、江戸時代中期の1720年頃に掘られたといわれる井戸であり、国の史跡のひとつです。
井戸の周りは大小の切り石を円形に積み上げてあり、高度な石工技術が施されています。
スポットの説明・見所
薩摩藩の役人が使用し、庶民には開放されなかったことからこの名が付いたといわれています。
当時の高度な石工技術を確認することができます。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市平良西仲宗根382
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で約10分、平良港から車で約3分、駐車場なし。
牧山展望台
牧山展望台は、宮古島のシンボルで鷹の仲間の「サシバ」が羽を広げて飛んでいる姿を模した展望台です。
宮古諸島の1つである伊良部島にあり、島内で標高が最も高い場所にある展望台でもあります。
スポットの説明・見所
牧山展望台からは、伊良部大橋や珊瑚礁による海のグラデーションを展望できます。
ここでしか見れない絶景は、忘れられない旅の瞬間になること間違いなしです!
基本情報
住所 沖縄県宮古島市伊良部字池間添923-1
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で伊良部大橋を渡って約25分、佐良浜港から車で約10分、無料駐車場利用。
通り池
宮古諸島の1つである下地島にあり、雨水による石灰岩の浸食が造った神秘的な自然の造形です。
通り池は、国の名勝および天然記念物にもなっています。
スポットの説明・見所
海岸沿いの岩礁地帯にぽっかりと口を開けた2つの池が通り池です。
実は海底のトンネルで海とつながっており、潮の干満とともに水面が上下します。
外海から海底の洞窟を経由して通り池に出ることができるため、ダイバーにとって憧れのダイビングスポットでもあります。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市伊良部佐和田1742
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で伊良部大橋を渡って約30分、佐良浜港から車で約20分、無料駐車場利用。
豊見親墓(とぅゆみゃ墓)
豊見親墓は15世紀末から16世紀初めに宮古島を統治した、仲宗根豊見親の墓です。
国の重要文化財に指定されています。
スポットの説明・見所
まるでピラミッドを思わせる建造物であり、当時の石造建築技術の高さを知ることができます。
豊見親(とぅゆみゃ)とは、宮古の方言で「名高き親」という意味です。
宮古島を統治していた人物の威厳を感じることができるスポットといえるでしょう。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市平良西仲宗根真玉3-4
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で約20分、平良港から車で約15分、無料駐車場利用。
池間大橋
池間大橋は宮古本島と池間島を結ぶ全長1425メートルの離島架橋であり、船舶の航行のため中央部が盛り上がった形状をしています。
総工費99億円を投じて1992年(平成4年)に開通しました。
スポットの説明・見所
「池間ブルー」と呼ばれる珊瑚礁の青い海の上を走る、宮古屈指の絶景スポットです。
橋の上は停車禁止なので、写真を撮影する際は橋の歩道を歩きましょう。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市平良字池間
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で約25分、佐良浜港から車で約10分、橋の両方のたもとの無料駐車場利用。
伊良部大橋
伊良部大橋は宮古本島と伊良部島を結んでおり、無料で渡れる橋としては日本最長の3540メートルを誇る離島架橋です。
総事業費399億円をかけて2015年(平成27年)に供用が開始されました。
スポットの説明・見所
宮古島には宮古本島と来間島を結ぶ「来間大橋」、同じく本島と池間島とを結ぶ「池間大橋」がありましたが、「伊良部大橋」の開通により、宮古島・来間島・池間島・伊良部島・下地島の5島が3つの大きな橋で結ばれました。
車で簡単に伊良部島へ渡れるようになったことは、宮古島の観光スタイルに大きな変化をもたらしています。
なお、伊良部大橋を眺めるには、宮古本島側にある伊良部大橋見学ステーションがおすすめです!
基本情報
住所 沖縄県宮古島市
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で約15分、下地島空港から車で約15分、平良港から約5分、伊良部大橋見学ステーション無料駐車場利用。
漲水御嶽
漲水御嶽(はりみずうたき)とは、別名を「ツカサヤー」ともいう御嶽です。
宮古島創世の神、古意角(こいつの)と姑依玉(こいたま)の男女二神が奉られ「人蛇婚伝説」が伝わる御嶽です。
スポットの説明・見所
御嶽とは、沖縄で神を祀る聖所を指します。
漲水御嶽は、島内最高の霊場やパワースポットとして、島の人々の信仰を集めています。
禁足地が多い御嶽ですが、ここは宮古島で唯一、足を踏み入れることができる御嶽です。
また、漲水御嶽の境内の南側にある石垣は1500年、仲宗根豊見親が築いたものとされています。
これは八重山のオヤケアカハチとの戦いにおいて、御嶽に戦勝祈願をし、見事勝利した記念に造られました。
この石垣は当時の石造技術を知る上で貴重な文化財であり、市指定の史跡になっています。
基本情報
住所 沖縄県宮古島市平良字西里8
電話番号 0980-73-1881(宮古島観光協会)
アクセス 宮古空港から車で約15分、平良港から車で約3分、駐車場なし。
まとめ
今回は宮古島の歴史や文化について、ご紹介させていただきました。
宮古島には、歴史や伝承が残る史跡が数多く点在します。
特に古くから島の玄関口である平良港付近には、ここでご紹介した人頭税石、大和井戸(ヤマトガー)、漲水御嶽など、島の歴史を語る文化財や史跡が多くあるため、ゆっくりと散策することができます。
史跡から語られる悲しい歴史や島の人たちの苦しみ、誕生の喜びや名士を称える文化財などで、宮古島の歴史に触れてみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました。